ピルは男性も飲める?男性用ピルの話

経口避妊薬は女性が服用するものという常識に反して、最近では男性用ピルが販売されています。
原料はインドネシアやパプアニューギニアに自生しているガンダルサという植物で、現地では古くから痛み止めなどの民間薬として用いられてきました。
その一方で、摂取していると妊娠の確率が下がることも知られていました。

急速な経済成長を続けるインドネシアでは、急増する人口の抑制が課題になっています。
従来のピルやコンドームなどを気軽に使えない低所得者層のために、コストのかからない避妊方法が模索されています。
男性用ピルは、その一環としてインドネシアの大学で研究が進められ、伝統薬を見直す形で開発されたという経緯があります。

そもそも妊娠は精子が卵子に突入しなければ成立しません。
人間の卵子は卵膜というヒアルロン酸の膜で包まれています。
卵子まで到達した精子は、先端部分からヒアルロニダーゼという酵素を分泌し、卵膜を溶かすことで卵子の中へ進入します。
ガンダルサに含まれる成分は、この酵素の分泌を阻害すると考えられています。
そのため卵子は受精することができず、妊娠を防げるというわけです。

酵素の分泌が阻害されるメカニズムについては、まだ十分に解明されていません。
一説によれば男性の体内で精子が形成される過程に影響し、酵素を作れなくすると言われています。
インドネシアでは経口避妊薬としての臨床試験が行われ、1年間の継続服用で98~99%の避妊率が得られたと報告されています。

現在市販されている男性用ピルは、正式な医薬品というわけではなく、健康食品のような取り扱いになります。
使用方法も厳密ではなく、性行為の30分前にお茶として飲むと良いなどとされています。
しかし今のところ確実な避妊ができるわけではないので、絶対に妊娠させたくない場合は、他の方法を採用したほうが良いでしょう。

なお別のアプローチとして、イギリスでは精子の尾の部分の運動能力を奪う薬が研究されています。
泳げなくなった精子は卵子までたどり着けず、受精を阻止できるという仕組みです。
ある程度まで実験は進んでいますが、商品化されるのは2021年以後と言われています。

男性が主導する避妊方法として代表的なのはコンドームですが、装着が面倒だったり性感を損なったりして、使用を嫌がる方も少なくありません。
男性用ピルは安価で簡単に使える避妊薬として、今後の研究開発と普及が期待されています。

男性用経口避妊薬は精子に悪影響を及ぼすのか

ガンダルサは昔から民間薬として利用されてきた植物で、特に重大な副作用は報告されていません。
ただし体に合わない方には、不快感や下痢といった症状が出ることが考えられます。
また性欲を高める作用があるも言われています。
女性用の経口避妊薬と違ってホルモンは含まれていないため、体調に深刻な影響を及ぼすことは少ないでしょう。

ガンダルサの作用は一時的なもので、服用を中止すれば精子は受精能力を回復します。
完全に回復するまでの時間にはバラツキがありますが、インドネシアの研究ではおよそ2か月ほどかかるとされています。
やや時間は必要ですが、将来子どもを作れなくなるという心配はないでしょう。
遺伝子に作用するわけではなく、その他の悪影響を及ぼすことも考えにくいですが、効能が完全に解明されていないことは覚えておく必要があります。

男性用ピルは個人輸入で合法的に入手することができます。
ウェブサイトで販売している業者も見られます。
日本では医薬品としての購入制限はありませんが、使用はあくまで自己責任となります。
万一体に合わないときは、すぐに服用を中止しましょう。
また当然ながら性感染症を防ぐ効果はないため、コンドームの代わりにはならない点に注意してください。

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